緑内障とは
緑内障は早期発見・治療が大切
緑内障は、視神経に異常が起こることで、視野や視力に障害が生じる病気です。
放っておくと失明の恐れもあります。
緑内障の視野欠損
視野の欠け方には個人差がありますが、イメージとしては下図のように進行していきます。
灰色の部分が視野の欠損部分です。
視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりしても、もう片方の目が視野を補うため、初期段階では気付きにくい病気です。ご自身で気づいたときには、かなり病気が進行している場合が多いです。

緑内障の早期発見のため、視神経繊維の状態を調べています
以前は緑内障の原因として高眼圧が考えられていましたが、近年、正常眼圧内で緑内障を起こしている患者様が圧倒的に多いことが分かってきました。そのため緑内障の診断は、眼科医が直接目の奥の神経の状態を観察したり、視野検査を行うことで診断していく必要があります。
緑内障の日帰り手術
当院では日帰り手術を行なっています。ご希望の方はご相談ください。
病状、患者様の生活スタイル、今後の予想される緑内障進行度を考慮し、適切な緑内障手術を提案、実施させていただきます。
手術は本人および家族が十分に理解した上で納得して望むことが大事ですので、術前には十分に時間をあてて、手術方法や合併症について説明し、インフォームドコンセントに努めております。
手術は外来診療のない休診日(木曜日)に行います。
常にアットホームな雰囲気で患者様とのコミュニケーションをとり、安心して手術を受けられるように準備しております。
術後の注意について、手術が終了後に、おうちの方にも一緒に詳しい説明をきいてもらっております。
MIGS(低侵襲緑内障手術)
緑内障の治療では、適切な眼圧に戻すことが目標です。
点眼治療やレーザー治療がありますが、このような療法を用いても改善が困難とされる進行性の緑内障と判断された場合は、手術を行う必要があります。
MIGSの特徴
特殊な機器を使用し、非常に小さな切開で線維柱帯にアプローチしますので、MIGSは目への負担が少ない安全な緑内障手術で、
ただし、後述する「プリザーフロマイクロシャント」、「線維柱帯切除術」に比べて眼圧下降はマイルドです。
また、効果が乏しい患者様が一定数おられます。
具体的な治療方法としては、マイクロフックを使用した線維柱帯切開術やiStentなどがあり、患者様の状態を見極めて選択します。
このような方にお勧め
・目への負担が少ない治療にしたい
・手術時間が短い治療、通院回数を減らしたい
・合併症のリスクを減らしたい。
など
線維柱帯切開術(眼内法)
マイクロフックトラベクロトミー(μHook)
目への優しさを第一に考えた、短時間の緑内障手術です。
この手術は、線維柱帯を切開し、房水の排水機能を改善させることで、眼圧下降効果が期待できます。
「低侵襲緑内障手術(MIGS)」と呼ばれ、体への負担が非常に少ないのが特徴です。
手術の特徴
・安心の低リスク
維柱帯切除術(トラベクレクトミー)に比べて、合併症のリスクが低く、目へのダメージを最小限に抑えられます。
・スピーディーな治療
眼内からアプローチするため、手術時間が短く済みます。
・白内障手術とのセットが効果的
白内障の手術と同時に行うことで、より効率よく眼圧を下げる効果が期待できます。
・眼内に出血するので、術後早期は見えにくくなることがしばしばあります。
白内障手術併用眼内ドレーン
iStent(アイステント)/ iStent inject W:
緑内障の進行を抑えるために開発された、世界最小クラスの医療機器です。大きさはわずか1mm、指先にも乗らないほど小さなチタン製のチューブです。これを目の排水口に設置することで、目の中の水の流れをスムーズにし、眼圧を安定させます。
手術の特徴
・手術の負担は最小限です
白内障手術と一緒に行うことができ、追加の時間はわずか5分ほどです。目への負担が少ない「低侵襲手術(MIGS)」の代表的な治療法です。
iStentのメリット
・目薬の負担が減る
目薬1本分に近い眼圧下降効果が期待できるため、毎日の点眼回数を減らせる可能性があります。
・回復が早い
傷口が非常に小さいため、術後早い段階から日常生活に戻れます。
・合併症のリスクが低い
従来の大きな手術に比べ、安全性が格段に高まっています。
Hydrus(ハイドラス)
Hydrus(ハイドラス)は、緑内障の進行を抑えるために、目の中に設置する非常に小さな医療用の「ステント(管)」です。軽度から中等度の「開放隅角緑内障」の方が対象となります。目への負担が少ない「低侵襲手術(MIGS)」の代表的な治療法です。
手術の特徴
白内障の手術と同時に行われます。しっかりと麻酔をした後、白内障手術の傷口からこの小さなステントを挿入し、目の中の水の通り道(シュレム管)を広げます。
Hydrus(ハイドラス)のメリット
・目薬の負担が減る
目薬1本分に近い眼圧下降効果が期待できるため、毎日の点眼回数を減らせる可能性があります。
・確かな実績
多くの臨床データがあり、安全性と効果がしっかりと確認されている治療です。
※ご注意いただきたいこと
この手術は「失った視野を元に戻すもの」ではありません。
また、術後も目薬が完全に不要になるとは限らないことをご理解ください。
プリザーフロマイクロシャント
「プリザーフロマイクロシャント手術」は新たな低侵襲濾過手術です。
合併症が少なく、大きな​眼圧下降効果をもたらします。
短時間で手術でき、術後にコンタクトレンズを使用できる可能性もあります。
障害された視神経は回復しないため、一度失った視野を戻すことはできませんが、眼圧をしっかり下げることで進行を遅らせることは可能です。
目薬やレーザーでは改善が難しい場合に、この手術が適応となります。
プリザーフロマイクロシャントの特徴
・目への負担が少ない
従来の大きな手術(トラベクレクトミー)に比べ、目を切る範囲が小さく、短時間で終わります。
・術後の管理がスムーズ
出血や炎症が少なく、眼圧が「下がりすぎる」リスクも抑えられています。
・コンタクトレンズの使用
術後の状態によりますが、コンタクトレンズを継続できる可能性があるのも大きな特徴です。
トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)
トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)は、代表的な濾過手術であり、強膜弁下から前房内へ房水流出路を作成し前房内から眼外へ房水を排出させることで眼圧下降効果が得られる手術です。
1.結膜を切開し、その下の強膜を半分の薄さになるようにはがします。残した強膜と、虹彩に穴を開けます。
2.はがした強膜をかぶせて縫いつけ、結膜を元に戻します。房水が強膜と結膜の間に排出されるようになり、眼圧が下がります。
アーメド緑内障バルブ(緑内障インプラント手術)
「アーメド緑内障バルブ」は、小さなプレートにチューブがついたデバイスです。それを目に取り付け、眼内の水を眼外に逃がすことで眼圧を下げる手術です。
基本的には、線維柱帯切除術やプリザーフロマイクロシャント手術が困難な難治性の緑内障に対して行う治療です。ほぼ全てのタイプの緑内障に有効で、術後管理がシンプルであること、眼表面に濾過胞ができないことも大きなメリットであるため、頻回の通院が困難な患者様には第一選択とする場合もあります。チューブを留置する場所は3通りありますが、将来の角膜内皮細胞減少のリスクを避けるため、当院では硝子体手術を同時に施行し、チューブを硝子体腔へ留置しています。
最初に硝子体手術で、硝子体を完全に除去し、眼内を安全な状態にします。続いて、強膜にプレートを縫い付け、プレートから伸びるチューブを眼内に挿入して、眼内の水を眼外へ排出させます。最後に結膜で覆って終了します。手術時間は通常1時間程度です。

手術の特徴
・難治性の緑内障に強い
ほかの手術では眼圧が下がりにくい、再発をくり返すといった難しい症例にも対応できる治療法です。
・眼圧が下がりすぎにくい
バルブ(弁)が組み込まれており、眼圧が一定以上にならないと房水が流れない構造です。そのため、手術直後に眼圧が下がりすぎる「低眼圧」のリスクを抑えられます。
・しっかりとした眼圧下降効果
新しい排出路を確保するため、大きな眼圧下降が見込めます。
このような方にお勧め
・点眼やレーザーで眼圧が十分に下がらない
・これまでの緑内障手術で効果が得られなかった、再上昇してしまった
・血管新生緑内障やぶどう膜炎による緑内障など、難治性のタイプと診断された
・頻回な通院が困難、術後の処置が困難
※ご注意いただきたいこと
この手術は「失った視野を元に戻すもの」ではなく、眼圧を下げて緑内障の進行をゆるやかにすることが目的です。白内障手術を受けていない場合は事前に白内障手術が必要になる場合があります。手術後しばらくしてバルブ周囲に膜ができ、眼圧が再び上がったり、追加処置が必要になったりすることもあります。状態を見極めたうえで、患者様お一人おひとりに適した方法をご提案いたします。